Neutral.y2 / ニュートラル の日記
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変わる 変える 治す
2015.04.20
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今日、初めてお越しになった方が『変わらないといけないと思いました』という言葉を口にされました。
世の中では
《自分を変える》
《性格を変える》
《性格を治す》
と言った言葉を多く見かけます。
世の中にそんな言葉が定着しているので、このホームページの中でも、その言葉を使って表現している部分もありますが、私は《変わる》《治す》と言った言葉には違和感を持っています。
今日、来てくださった方は、《変わらないといけない》という想いを背負い、とても気負っておられる様子でした。
その意気込みはとても素晴らしいと思いました。
でも、とてもしんどそうにも感じたので、私はカウンセリングを始める前に《変わる》という事についてのお話をする事にしました。
《性格を変える》《考え方を変える》
その言葉は、とても難しい事に取り組むようで、目の前には大きな壁が有るように感じないでしょうか。
その壁を乗り越えたり壊す為には、とても大きく強い忍耐や努力や気力が必要で、自分自身の心に鞭を沢山打たなければいけないような…そんなイメージが無いでしょうか。
でも本当はそうじゃなく、そんなに頑張らなくても良いんです。
今、心は自由を感じられず伸び伸び出来ていないのではないかと思います。だからこそ苦しく辛く感じておられるのではないでしょうか。
心に大きな重石のようなものがのし掛かっていたり、ある感情に縛り付けられていたり、又は何か解らないモノに締め付けられているような…そういった窮屈な感覚があるのでは無いでしょうか。
その重石や縛り付けるものを一つ一つ取り除けば心は自由になり、《ありのままの自分》でいられるようになるんです。
ただ、一つ一つ邪魔をしているモノを取り除き、楽になって行くだけで良いんです。
心が楽になれば、自然に考え方も行動も変わります。
でもそれは自分が変わったわけではなく《本来の自分を表現出来るようになった》だけのこと。
決して思う程に難しいことでは無いんです。
カウンセリングは楽になる為の方法を考えるだけです。
もう何も鞭など打たなくて良いし頑張らなくて良いんです。
そんな風にお伝えしました。そして
『今は言葉で伝えても理解するのは難しいかもしれませんが、余分な荷物を取り除いて行くだけだというイメージを何となく想い描いて頂くだけで構いません。これからのカウンセリングの中で、一つ一つ荷物を下ろして楽になって行く感覚を得て頂きたいと思います。』
そうお伝えしました。
《鞭を打たなくて良い》と述べた時、その方は少し涙を流されました。
ホッとされたのかもしれません…
肩の力を少し抜いて頂けた様に感じました。
この日のカウンセリングで幾つかの荷物を下ろして頂けたようです。
『目の前を塞いでた壁が薄くなったような、何と無く先が見えるような気がして来ました』
そう言って笑顔で次回の予約をしてお帰りになりました。
次回からは《頑張ろう》ではなく、《もっと楽になろう》という感覚でカウンセリングに足を運んでいただけたら良いなと思っています。
カウンセリングは努力と忍耐で通う場所ではありません。
《行きたくなる場所》である事が問題解決に繋がるものだと思います。
どんどん心が楽になれるからこそ通う事ができ、問題解決(目標)に近付いて行けるものではないかと私は思います。
私は世の中にある《自分を変える》という言葉のイメージが、多くの方に《自分には出来ない》と感じさせ、その方の可能性を奪っているように思い、その事をとても歯がゆく感じています。
心に何らかの悩みや問題を抱えておられる方は皆、大きな重石を抱え心を縛り付けられ、その苦痛に耐えながらも、そんな自分の心に何度も何度も鞭を打っておられるだろうと思います。
楽になりたくてもその方法が見いだせず、ただ苦痛に耐えるしかなく…
でも耐え続ける事に心はどんどん疲れ果ててしまう・・・
そして心のパワーを消耗し、頑張る事も耐える事も出来なくなり、カウンセリングを受ければ何とかなるのだろうか…という想いを抱かれるのではないでしょうか。
でもカウンセリングを受ける為に《自分を変える為の努力や忍耐》が必要だと思えば、心が疲れ果ててる今、カウンセリングに足が向けられなくて当然だと思います。
拗れてしまった心の問題を、お一人で解決させるのはとても難しい事です。
それは、あなたが至らない訳ではなく、誰でも問題が複雑に絡み合い拗れてしまえば自分で解きほぐす事が難しくなるものです。
《自分の問題だから自分で解決するしか無い》
そう思われる方も沢山おられると思います。
でも《自分一人で考えるから解きづらい問題がある》のです。
だからこそカウンセラーという存在が居るのです。
今、カウンセリングは世間一般では行き辛い場所になっていると思います。
その理由には、問題を解決させて本来の自分《ありのままの自分》を取り戻すための作業を難しく大変な事と感じさせる《変わる、変える、治す》という言葉も、大きな障害になっているのではないかと感じています。
《変わる 変える 治す》そのイメージがある限り、《ありのままの自分》を手に入れることを諦めてしまう方を増やしてしまうだろうと思います。
世の中に定着した言葉のイメージを消し去ることは難しいことだと思います。
でも私は、小さな範囲からであっても少しずつそのイメージを変えて行きたいと思っています。