Neutral.y2 / ニュートラル の日記
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クライアントさんの涙
2015.03.12
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《自分の人生は何だったんだろう…》 そう言って、クライアントさんが泣いてしまわれました。
心に沢山の苦しみや哀しみを抱えながら生きてきた何十年もの長い人生を振り返り、そんな言葉を口にされた時が私は1番辛いです。
幼少期の成長過程において、愛情を心に受け、個性を尊重され、心豊かにのびのびと育つことが出来なかった方の中には、人生が苦痛や困難ばかりとなって生きづらさを感じながら過ごされる方が多くおられます。
心理カウンセリングと言う言葉が世の中に認識されるようになったのは極最近の事。
40代、50代の方にとっては、人生これからと言う20代の頃にはカウンセリングという言葉すら耳にする事もなく、ずっと一人でどうにもならない苦しみを抱えて生きて来られました。
その人生は、どんなに辛く苦しいものだったろうかと思います。
《何の為の人生だったのか…》 と言う想いを、何年もの間抱えて来られた方もいらっしゃれば
カウンセリングを受けて心が軽くなり《人はこんなにも楽に生きてたのか》と感じた事で、そんな想いを抱いてしまう方もおられます。
苦しみが大き過ぎて目の前しか見えなかった方が、心が軽く成るに連れ色んな事に興味が出て来たり、出来ることが増えて行く事で
《本来の自分はこんなだったのか》 と感じ
《自分にはもっと別の人生があった》と言う事に気づき、これまでの人生を悔やんでしまう方もおられます。
どうにもならない過去を悔やむ気持ちは苦しいだろうと本当に思います。
心にそれ程大きな負担を抱えて居なければ、もっと伸びやかに自由に物事を考え、沢山の選択肢の中から自分の思う様に《自分の生きたい人生》を選び、充実や喜びや達成感の多い人生が送れたかもしれません。
ずっと昔に本来の自分に成れていたら、確かにもっと沢山の可能性があったはずです。
人生の約半分と言う期間を苦しみの中で生きて来られた方は、《今、自分が苦しみから解放されても今更人生は変えられない…》 そんな風に思ってしまわれたりします。
過去はどうしても変えられません…
失った時間は戻せません…
でも、もしかしたら別の人生があったかも…と言うのは、苦しみを抱えていてもいなくても皆同じなのです。
誰にとっても、これまでの人生の何か一つの選択を別のものにしていたら、今の人生には成らず、別の人生を送っていたと思います。
誰であれ《あの時、あぁしてれば…》と考えれば、過去の選択が間違いに感じる事が有るだろうと思います。
でも、その時の自分はその時の自分に出来る範囲で精一杯に考え最善と思う道を選んで来たのではないでしょうか。
苦しみが大き過ぎた為に、その選択肢が少な過ぎたかもしれません。
夢や希望を持つ事に勇気が持てず、無難な道を選択していただけかもしれません。
だとしても、その時の自分はその選んだ道が自分にとって安全で安心だと思ったからではないでしょうか。
どんな理由でどんな選択をしていたとしても、人は皆自分の人生においての選択は、その時の自分の精一杯の答えで最善と感じる道を見出しているものだと思います。
過去を悔やむ事は、大きな苦しみを抱えながらも、その中で精一杯に考え、精一杯に人生の選択をし、一生懸命に生きてた、過去の自分を否定する事になります。
自分の苦しみは誰よりも自分が解っているはず
どれだけの忍耐を要し、それに耐えて来たかを誰よりも解っているはず
一生懸命生きてきた自分の過去を、自分で否定される事が私は何よりも辛く感じます。
人が過去を悔やむ気持ちを持つのは、《今》が納得・満足出来てないからではないかと思います。
今、目の前に楽しみを見つけ、やりたい事や目標を見つけ、先の未来の計画を立てたり夢を描いたり… そんな事が出来れば、人は過去を悔やんだりしないだろうと思います。
《別の人生があったかもしれないけど、この人生も悪くない》 そう思えると思います。
私が出来ることは、その方が《今の苦しみを取り去り、これからの人生に幸せを見つけよう。良い人生にしよう。》と目指す気持ちを持ってくださるなら、《この人生も悪くない》と思って頂ける日を目指してサポートする事です。
一時期には過去を悔やみ涙された方が、先日、カウンセリングを卒業して行かれました。
やりたい事を見つけ、先の人生に目標を持ち、自分に自信を付けて卒業して行かれました。
涙されたのは本の少し前なのに、もう卒業される事に驚きました。
カウンセリングをする中で、人の心の治癒力に感動させられる事が多くあります。
この時もそうでした。
卒業の日、改めて初めてお逢いした時を思い出すと、あの日と比べずっと表情は穏やかになられていて、胸を張り堂々とされてて…全く別人の様に変わられてました。
人の持つ生命力は計り知れません。
人が持って生まれた《生きる力》のエネルギーにはいつも感動します。
人には、こんなにも素晴らしい力があるのに、それが発揮出来ないまま生きておられる方がいらっしゃる事を本当に勿体無いと思うばかりです。
カウンセリングを広めたい。
改めてそう思いました。